ネズミを家で見かけるようになると「なんだか肌がかゆい」「ダニが増えた気がする」と感じることがあります。
ネズミはダニやノミなどの寄生虫を体につけて移動するため、住環境に持ち込まれるおそれがあり、注意が必要です。
寄生虫被害を放置すると、かゆみや皮膚炎などの健康トラブルにつながり、マダニに刺された場合は、重い病気を発症することも。
この記事では、ネズミが持つ寄生虫の種類や症状、被害を避けるための対策について解説します。
ネズミによる寄生虫被害は放置せず、早めの対処が不可欠です。

このような方におすすめ
- ネズミを見かけるようになった方
- ダニやノミによるかゆみが気になる方
- 子どもへの影響が気になる方
- 対策が必要か判断したい方
ネズミによる寄生虫被害

ネズミの体には、ダニやノミなどの寄生虫が付着しています。
寄生虫は、ネズミの移動とともに室内へ持ち込まれ、人を刺したり吸血したりすることで、かゆみや皮膚トラブル、病気の原因になることがあります。
代表的な寄生虫は以下の4種類です。
| 害虫名 | 主な症状 | 参照元 |
![]() イエダニ |
強いかゆみ、発疹、皮膚炎など | 日本防疫殺虫剤協会 |
![]() ノミ |
激しいかゆみ、感染症媒介の可能性 | 日本防疫殺虫剤協会 |
![]() マダニ |
発熱、倦怠感、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など | 東京都保健医療局 |
![]() ツツガムシ |
吸血による皮膚炎、発熱、発疹 | 山形県衛生研究所 |
イエダニ
イエダニは、ネズミに寄生し血を吸う小型のダニです。
体長はおよそ 0.5〜1mm程度 と非常に小さく、肉眼では確認しにくいサイズです。
ネズミが棲みついている天井裏や壁の中、床下などで繁殖し、ネズミがいなくなると人を吸血するようになります。
主に 首・腕・腹部・太ももなど皮膚のやわらかい部分が刺されやすいです。
イエダニに刺されると強いかゆみを伴う赤い発疹や腫れが現れ、皮膚炎を起こすことも。
イエダニ自体が重い感染症を直接引き起こすことは少ないですが、被害が長引きやすく、睡眠障害や二次感染につながるおそれがあります。
ノミ
ノミもネズミの体毛に寄生し、吸血して生息する寄生虫です。
体長は 2〜3mm程度 で、跳躍力が非常に高く、人やペットにも簡単に移動します。
ネズミに寄生していますが、ネズミがいなくなると室内に侵入し、足首・すね・腰まわり などを中心に刺され、強いかゆみと赤い腫れが現れます。
ノミは過去にペストなどの感染症を媒介した事例があり、現在でも感染症を媒介する可能性が指摘されている寄生虫です。
かゆみが強く、掻き壊しによる皮膚炎や化膿など深刻な状況になる場合もあります。
マダニ
マダニは、動物に寄生するダニの一種で、ネズミにも付着します。
体長は種類によって異なりますが、吸血前は約2mm程度、吸血後は 10〜20mmほどに大きく膨らむのが特徴です。
マダニは皮膚に口器を深く差し込み、数日から長い場合は10日以上吸血を続けます。
刺されてもかゆみや痛みが少ないことがあり、気づかないまま吸血されているケースも少なくありません。
刺されると、発熱や倦怠感などの症状が現れることがあり、重症熱性血小板減少症候群(SFTS) などの重い感染症を発症する事例も報告されています。
ツツガムシ
ツツガムシもダニの一種で、体長は 約0.3〜0.5mmと非常に小さい寄生虫です。
草むらなどに生息し、ネズミなどの小動物に寄生した幼虫が人を刺すことで被害が起こります。
衣類の隙間から体内に入り込み、内股や脇の下など皮膚のやわらかい部分を刺すのが特徴です。
刺された箇所は赤く腫れ、黒いかさぶたができることがあります。
ツツガムシに刺されると、ツツガムシ病を発症することがあり、高熱や発疹、全身のだるさなどの症状が現れます。
重症化すると肺炎のような症状を伴うこともあり、注意が必要です。
参考
ネズミを介してペットに感染する寄生虫
ネズミは人に直接影響する寄生虫だけでなく、猫や犬などのペットに感染する寄生虫を運ぶことがあります。
ここでは、ネズミを介してペットに感染する可能性がある代表的な寄生虫と、主な症状について紹介します。
| 病原菌名 | 感染症 | 猫の症状 | 参照元 |
|---|---|---|---|
瓜実条虫 |
猫条虫 | 嘔吐・下痢・食欲不振 | みんなのどうぶつ病気大百科 |
トキソプラズマ原虫 |
猫トキソプラズマ症 | 発熱・リンパの腫れ・下痢 | あいむ動物病院西船橋 |
エキノコックス属条虫 |
エキノコックス症 | 下痢・血便 | ぽちたま薬局 |
瓜実条虫(猫条虫)
瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)は、猫の小腸に寄生する条虫の一種で、体節が連なったひも状の見た目をしています。
成虫になると50cm以上に成長することもあり、ペットにとっても厄介な存在です。
ネズミの体内や排泄物を介して環境中に広がった虫卵を、ノミが摂取し、そのノミを猫が毛づくろいなどで口に入れることで寄生します。
寄生しても無症状のことが多いですが、多数寄生すると 嘔吐・下痢・食欲不振などが見られます。
また、条虫の片節が肛門周囲に出てくると、ペットがお尻を気にして床にこすりつける行動を取ることがあります。
トキソプラズマ症
トキソプラズマ症は、トキソプラズマ原虫と呼ばれる微小な寄生虫によって起こる感染症です。
ネズミなどの小動物が体内に原虫を持っており、それを猫が捕食することで感染することがあります。
感染しても症状が出ないことが多いですが、発症すると発熱・リンパ節の腫れ・下痢などが見られます。
多くの場合は軽症ですが、体調や免疫状態によっては注意が必要です。
参考
エキノコックス症
エキノコックス症は、エキノコックス属条虫によって起こる感染症です。
ネズミは幼虫が寄生する中間宿主で、そのネズミを猫が捕食することで感染します。
猫の体内に入ったエキノコックスは腸内で成長し、卵を産んで糞便とともに排出されるのが特徴です。
猫が感染しても目立った症状が出ないことが多いですが、まれに下痢や血便などを引き起こすことがあります。
参考
ネズミの寄生虫について知っておきたいこと
ネズミの寄生虫について疑問に感じる方が多いため、よくある疑問を整理しています。
エキノコックスはネズミから人に直接感染しない?
エキノコックスは、ネズミが幼虫を持つ中間宿主になりますが、ネズミから人へ直接感染することはありません。
人への感染は、犬や猫などが排出した糞便に含まれる虫卵が原因です。
虫卵が付着した手で食べものを食べたり、汚染された水を口にすることで体内に入り、感染が起こります。
このように、エキノコックス症はネズミに触れたことで直接感染する病気ではありません。
参考
トキソプラズマに感染したネズミは猫を怖がらなくなる?
トキソプラズマ原虫に感染したネズミは、猫に対する恐怖心が弱まることが研究で報告されています。
通常、ネズミは猫のにおいを避けて行動しますが、トキソプラズマに感染すると危険を恐れにくくなり、猫に近づきやすくなるとされているのです。
ネズミが猫に捕食されやすくなり、トキソプラズマが終宿主である猫へ感染しやすくなります。
トキソプラズマが自身の繁殖を有利に進めるために、宿主の行動に影響を与えていると考えられています。
ネズミによる寄生虫と皮膚病の関係

ネズミに寄生しているダニやノミは、人を刺すことで赤い発疹や腫れ、強いかゆみを伴う虫刺症(虫刺性皮膚炎)を引き起こします。
ダニのフンや死骸によってアレルギー性皮膚炎を発症することもあり、ネズミの被害は寄生虫による皮膚トラブルにつながりやすいです。
| 病名・名称 | 主な原因 | 主な症状 | 参照元 |
| 虫刺症(虫刺性皮膚炎) | ダニ・ノミなど | 赤い発疹、腫れ、強いかゆみなど | hifu・ka wab |
| アレルギー性皮膚炎 | ダニのフンや死骸 | 皮膚のかゆみ、アレルギーによるくしゃみ、鼻水など | 大石内科循環器科医院 |

イエネズミは3種類

日本の住宅や建物に棲みつくネズミは、主に3種類のイエネズミに分類されます。
それぞれ活動場所や行動範囲、性格が異なるため、発生しやすい被害にも違いがあります。
ネズミ対策を考えるうえでは、どの種類が棲みついているのかを把握しましょう。
被害をもたらす3種類のイエネズミ
- クマネズミ
- ドブネズミ
- ハツカネズミ
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クマネズミ

クマネズミは、都市部の住宅やビルで多く確認される代表的なイエネズミです。
天井裏や壁の内部など人目につきにくい場所に棲みつきやすく、警戒心が強いうえに運動能力も高いため、発見や駆除が難しい種類として知られています。
特徴・見た目
体長は約18〜24cmほどで、細身の体型をしています。
体よりも長い尾を持つのが特徴で、体毛は黒色〜濃い茶色が多く、腹側はやや白っぽい色合いです。
臆病な性格ですが動きは俊敏で、物音や人の気配に素早く反応します。
行動・生息環境
クマネズミは高い運動能力を持ち、電線や配管を伝って高所を自在に移動します。
天井裏や屋根裏、壁の内部など乾燥した高い場所に巣を作り、気づかれないまま繁殖するケースも少なくありません。
湿気を嫌う傾向があり、床下や排水まわりよりも高所を好む点が特徴です。
食性・繁殖
雑食性ですが、穀物や果物などの植物性の食べ物を好みます。
繁殖力が高く、生後およそ3か月で繁殖可能となり、1回に5〜6匹を年に複数回出産するとされています。
糞の特徴
糞は細長い楕円形で、長さは約6〜10mmほどで、色は茶色や灰色で、食べた物によって多少変化します。
高所を移動する習性があるため、天井裏や換気扇周辺で見つかることが多いです。
クマネズミにつきやすい寄生虫
クマネズミには、イエダニなどのダニ類が寄生しやすい傾向があります。
天井裏や壁の内部など人目につきにくい場所に棲みつくため、巣でダニが増殖し、室内へ侵入することで寄生虫被害につながることがあります。
参考
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ドブネズミ

ドブネズミは、都市部の下水道や建物の床下など、地面に近い低い場所を中心に棲みつくイエネズミです。
体が大きく行動範囲も広いため、住宅や店舗では被害が深刻化しやすい種類とされています。
特徴・見た目
体長は約22〜26cmとイエネズミの中でも大きめで、ずんぐりとした体型が特徴です。
尾は体に対して短く、耳も小さめ。体毛は茶褐色〜灰色で、腹側はやや白っぽい色をしています。
警戒心が強く食欲も旺盛で、状況によっては人やペットに威嚇行動を見せることもあります。
行動・生息環境
ドブネズミは泳ぎや穴掘りが得意で、下水道・床下・側溝など湿気の多い低い場所を好みます。
寒さに弱いため、冬場は暖かい建物内へ侵入しやすく、床下や倉庫、キッチンなどに巣を作ることがあります。
巣は布切れや紙くずなどを集めた簡易的なもので、人目につかない暗く低い場所に作られやすいです。
食性・繁殖
雑食性で、穀物・肉・魚・残飯など幅広いものを食べます。
繁殖力も高く、生後約3か月で成熟し、1回の出産で6〜9匹を年に5〜6回出産するといわれています。
寿命はおよそ2〜3年です。
糞の特徴
糞は太く整った楕円形で、長さは約10〜20mmほどあります。
色はこげ茶色〜灰色で、他のイエネズミと比べてサイズが大きい点が特徴です。
排水管や側溝から侵入しやすいため、キッチン・トイレ・浴室など低い位置の水回りで発見されることがあります。
ドブネズミにつきやすい寄生虫
ドブネズミは下水道や床下など湿った低い環境を移動するため、イエダニなどのダニ類に加えて、ノミが寄生することがあります。
周辺環境によっては、屋外でマダニが一時的に付着する可能性も考えられます。
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ハツカネズミ

ハツカネズミは、都市部や郊外の住宅に棲みつくイエネズミで、繁殖力が非常に高く、短期間で数が増えやすいのが特徴です。
見た目は小さくかわいらしく見えることもありますが、食品への被害や感染症の危険性を伴う害獣です。
特徴・見た目
体長は約6〜10cmほどと小型で、灰褐色の体毛を持ちます。
耳や目が大きく、クマネズミやドブネズミよりも一回り小柄です。
体が小さいため、わずかなすき間からでも侵入でき、動きが俊敏で発見しにくい種類でもあります。
行動・生息環境
屋外では草地や畑、雑木林などに生息していますが、寒さを避けるため秋から冬にかけて建物内へ侵入します。
1cmほどのすき間があれば入り込めるため、床下・押入れ・壁の中・厨房のシャッター下など、暗くてジメジメしやすい人目につきにくい場所に巣を作ります。
狭い空間を好む性質があり、棲みついても気づかれにくく、一気に数が増えやすいです。
食性・繁殖
雑食性で、穀物や野菜、残飯などを幅広く食べます。
繁殖力が非常に強く、生後およそ1か月で成熟し、1回に5〜6匹を年に数回出産するといわれています。
寿命は1〜1.5年ほどで、クマネズミやドブネズミより短めです。
糞の特徴
糞は4〜7mmほどで、米粒に似た細長い形をしており、両端が尖っているのが特徴です。
色は茶色っぽく、物置や倉庫、押入れの隅など湿気のこもりやすい場所で散らばって見つかることがあります。
ハツカネズミにつきやすい寄生虫
ハツカネズミには、イエダニ、ノミなどのダニ類が寄生することがあります。
屋外で活動する機会が多いため、草地や畑が周辺にある環境では、マダニやツツガムシが付着する可能性も考えられます。
参考
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ネズミによる寄生虫被害を避けるための対策方法4選

ネズミに寄生するダニやノミは、人を刺したり、アレルギー症状を引き起こす原因になります。
寄生虫被害を防ぐためには、日常生活でできる対策と、ネズミそのものへの対処を組み合わせることが重要です。
以下では、ネズミによる寄生虫被害を避けるために意識したい対策を4つ紹介します。
寄生虫を外から持ち込まない
屋外で活動したあとは、衣類や靴、バッグなどにダニが付着していないかを確認しましょう。
特に草地や畑、物置まわりに立ち入った場合は注意が必要です。
帰宅後に衣類を早めに洗濯する、玄関先で上着の汚れを掃うといった習慣も、寄生虫の持ち込み防止につながります。
虫よけ剤を使用する
ダニやノミ対策として、市販の虫よけ剤を活用する方法があります。
屋外作業やネズミの痕跡が見られる場所に立ち入る際は、肌の露出を抑えつつ虫よけ剤を併用すると効果的です。
燻煙剤を使用する
室内でダニ被害が疑われる場合は、燻煙剤を使って空間全体を処理する方法があります。
天井裏や壁の内部に直接届くわけではありませんが、室内に出てきた寄生虫の対策として有効です。
使用時は、食品やペットの取り扱いに注意してください。
ネズミの駆除をする
寄生虫被害を根本から防ぐには、原因となるネズミそのものへの対策が不可欠です。
ダニやノミは、ネズミの体や巣を拠点に増えるため、虫よけ剤や燻煙剤だけでは一時的に数を減らせても、発生源が残っていれば再び増えてしまいます。
ネズミは天井裏や壁の内部など普段は気にしない場所に棲みつくため、侵入経路や巣の位置を特定せずに対策を行っても、被害を繰り返しやすいです。
根本的な原因であるネズミを解消してはじめて、ダニなどの寄生虫被害もおさまります。
寄生虫被害が続いている場合は、ネズミの生息状況を調査したうえで、侵入経路の封鎖と駆除を同時に行える専門業者への相談が、最も確実な解決策といえるでしょう。
ネズミと寄生虫の被害は専門業者に駆除してもらおう!

ネズミが棲みつくと、糞尿や騒音といった被害だけでなく、イエダニやノミなどの寄生虫による二次被害も無視できません。
虫よけ剤や燻煙剤で一時的に症状が落ち着くことはありますが、発生源であるネズミや巣が残っていれば、寄生虫は再び増えやすくなります。
根本的に被害を解消するには、ネズミの駆除に加え、侵入経路の特定と封鎖まで徹底することが重要です。
とはいえ、天井裏や壁の内部など目に見えない場所まで調査し対策を行うのは、一般の方にとって現実的とはいえません。
そのため、調査から駆除、再発防止まで一貫して対応できる専門業者への依頼が、スピーディーで確実な解決につながります。
害獣お助け本舗では、相談・見積もり無料で、住宅の状況やネズミ被害に合わせた最適な駆除プランをご提案しています。
ネズミやダニ、ノミなどの寄生虫被害を長引かせないためにも、早めにプロへ相談してみてください。
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